国内ミステリ

辻真先『アリスの国の殺人』(大和書房)

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千街晶之『怪奇幻想ミステリ150選』(原書房)で取りあげられていた、辻真先『アリスの国の殺人』(大和書房)を読んだ。本作は、『本格ミステリ・フラッシュバック』(東京創元社)でも取りあげられている。
小学生の頃から『不思議の国のアリス』が愛読書だった克二は、不思議の国の教会でアリスと結婚する夢を見る。神父の前で誓いの言葉を唱えようとしたとき、克二はチェシャ猫殺しの疑いをかけられて、判事である女王の前で裁判にかけられる。一方、現実の世界では、克二が勤務する出版社の上司が密室で死体となって発見された。上司が殺害される前晩、新宿ゴールデン街のスナック「蟻巣」で、克二はたまたま上司と会っていた。

物語アリスの国の殺人 日本推理作家協会賞受賞作全集 (42)は夢の中の不思議の国と、現実世界が行き交う。辻さん得意の舞台転換だ。不思議の国ではおなじみの住人だけではなく、鉄人28号、ニャロメ、ヒゲオヤジまで登場する。ナンセンスな言葉遊びと、漫画、アニメ、テレビの登場人物たちがシンクロする。そして現実世界での事件はスナック「蟻巣」の常連客と、出版業界の内幕などもからんで事件解決へと進んでいく。不思議の国の幻想的な世界とは裏腹に、現実世界の結末は何とも重苦しい。

本作は1982年に日本推理作家協会賞を受賞している。

 

 

 

 

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